2012年5月15日火曜日

自然エネルギー全量買取制度(経済的な面)

自然エネルギー全量買取制度は
前回の記事で概要を書きました。

ざっくりいえば、自然エネルギー普及させたいけど
発電するのに金かかりすぎるから、それ以上の金額で電力会社買い取ってね
それにかかったコストは需要者に転換できるよ

という話です。
もっとざっくりいえば、我々国民が追加負担をして
自然エネルギーを普及させますよということです。





【家庭部門】
では、それにかかる負担金とはどのくらいなのでしょうか
最もよく見かける値で「年間約7000円強」(H22.3.4 日経新聞)があります。
つまり家庭部門で8000億程度負担することになります

しかし、この制度をよく見ると「新エネルギーに対応していないセクター」にだけ
負担が集中するような制度設計になっています。
ということは新エネルギーを導入できない世帯や企業に負担が集中します

また、この算定は震災以前にされたもので
その当時に比べ自然エネルギーの導入が加速する可能性と
原子力発電の停止とそれを補うための火力発電の燃料費のために
通常時の電気代が上がることも想定できます
たとえば以前原子力で発電していた分を自然エネルギーで賄おうとするならば
月1000円以上=年間12000円以上 の追加負担となるでしょう
これも新エネルギーに対応できない人たちが負担します

【産業部門】
家庭部門は
追加負担という現金なものだけで移住することは滅多にないでしょう
しかし、産業部門は違います
負担としては民間部門と少し異なりますが、大体同じスキームで追加負担を強いられるでしょう
その負担は電気使用量に従い増えていくので製造業特に鉄鋼メーカなど電気大量消費型の産業には大打撃になります。
当然製造コストの増大は価格への転嫁だけでなく、国際競争力の低下および製造拠点の海外移転が考えられます。
もともと、人件費や税制の問題から日本で製造するメリットは少なかったですが
この状況がさらに産業の空洞化を招くことを容易に想像できます。
そのため、ドイツではこのような産業に対しては優遇措置を施していますが現在のところにほんではその動きは見えません。
一方、この新エネルギー関連の産業が発展するという見方があります
これは、いわゆる太陽光パネル製造などの上流部門とそれの制御するICT提供の下流部門(SI部門)そして保守などする部門があります。
これらの中でのボリュームゾーンはリサーチができていませんが、おそらく上流部門ではないかと考えます。
その上流部門(太陽光パネル製造メーカ)は日本の中ではプレイヤーがとても多いですが、世界市場で見れば中国・台湾がとても強い状況となっています。
ヨーロッパ最大の太陽光パネルメーカのQ-Cellsが経営破たん(2012/4/2)するなど国内産業がやすやすと振興する状態でないのがわかります
やってみないとわからないことが多いでうすが、現在においてはネガティブな要素が多い気がしています。

しかし、この政策は「経済的負担をしても何かを得たい」という動機があります
次はその「何を得たいか」ということについて書きます


参考:http://www.enecho.meti.go.jp/kaitori/forum_2.pdf

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